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2010-11

本の味わい

10月29日の日本自費出版ネットワークのセミナーのテーマは

「電子書籍と自費出版の未来」。

これから電子書籍はますます普及していくことは間違いない。

もちろん、情報として読むだけの文章、ストーリーを追って読むだけの小説、

加えて画像を楽しむマンガなど、電子書籍なら一度読んでしまえば手元には

何も残らず部屋を占領してゆく雑誌や書籍に悩まされることもない。

これは画期的なツールにはちがいない。何らかのデバイス(PCなど)を

持つことでさまざまなコンテンツとしての書籍・雑誌を楽しめるのだ。

ひるがえってこれまでの紙媒体の書籍・雑誌はデバイスとコンテンツが一体化した

ものだった。だから本がどんどん部屋に溢れかえってしまうことに困り果てている

人がたくさんいることだろう。

しかし、いくら電子書籍が普及したところで紙媒体がゼロになる

かというとたぶん、そうはならない。

紙媒体の本には電子書籍という文字情報では伝わらない味わいがある。

かかわってきた人々の創意・総力の結集が一冊の本として結実する、

その過程の一端を知る人間として感じているのは、紙媒体の書籍は

著者はもちろんのこと、本作りにかかわった全てのひとによるコラボ作品

であるということ。表紙のデザイン、紙の手触りや匂い、そしてインクの

染み込み具合による発色、文字選び、ページのレイアウト、丁寧な製本、

著者から受け取った原稿をより輝かせるために私たちは知恵を絞る。

それらがあいまって本の味わいというものが出てくる。

でも作った本をただ作りっぱなしにするのではなく、出版物として後世に

残してゆくための努力を私たち出版社は怠ってはいけない。

小社では国立国会図書館をはじめ、自費出版図書館、詩歌文学館などなど、

出版物を受け入れたり、データベース化して残してもらえる機関への寄贈は

必ずしているし、ちゃんと読んでもらえそうなマスコミ関係や専門雑誌などへも

送っている。そのほか、今後の取り組みとして現在進めている小社出版句集の

句のデータベース化、更には句集そのものも後々はデータベース化できるように

考えていこうと思う。そのためには新たに協力者を募ることになるだろうけれど、

川柳句集を主に制作している小社の大事な仕事は、これから川柳をはじめる人、

未来の人たちにちゃんと資料としての句集を残していくこと。これは肝に銘じて

おかなくてはいけません。そんな事を考えさせられたセミナーでした。

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山内令南作品集『夢の誕生日』

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